会社を定年退職したら、地域とつながりましょう、地域活動に参加しましょう、というのは、意外に定説。
よく言われることです。
だけど、今までずっと会社勤めしてきた者にとって、それはあまりピンと来ることではありません。
地元での子育てに関わってこなかったり、引っ越してきて地域との縁が薄ければなおさらのこと。

ところが、この地域デビューというのが、なかなか難しいようです。

高齢者向けにパソコン教室やiPad教室を開催してきた80代の山根さんは、地域デビューを目論んでくじけてしまう男性の事例を多く見てきたそうです。
今から3年前に、こちらで山根さんに聞いた”地域デビューの悲哀”について書いたことがあります。

「男性」のことでしょ?と思うでしょう?
いやいや、今までだったらそうなんでしょうが、これからは女性だって似たようなものじゃないでしょうか。

今の50代は、ちょうど雇用均等法が・・・・・・・・・
私自身も、30年近く会社勤めをしてきました。
会社勤めを卒業したとき、そろそろその「地域」とやらにつながってみようかと思って、出かけたことが数回あります。
それは、回覧板でみつけたものでした。
一人暮らしの高齢者を対象にした、地域で開催している集まりでした。
私は、高齢者というにはまだ少し若いけれど、まずは一参加者として、場合によっては運営ボランティアとして何かお役に立てればと思って参加してみたのですが、参加するだけでも結構な勇気が必要です。
地域の集まりとは言え、仕事をしてきた私には知っている人など1人もいません。
それはなかなか高いハードルでした。

恐る恐る出かけていくと、怪訝な視線に囲まれて「何しに来た?」という空気がいっぱいです。
とても手伝いたいなどとは言い出せず、一参加者として90代の方に交じって体操をしたり、おしゃべりをしたり…。
私はいったい何をやっているんだろうなどと思いながら、こんなんで地域に関わって行けるのだろかと思いました。

先日、シニア世代のキャリアデザインについての勉強会に参加した際にその話をしたら、同世代に言われたのです。

「そんな思いをしてまで、地域とつながらなくちゃいけないんですか?」
「今の時代、ネットもあるし、地域と関わらなくてもいくらだって生きていけるじゃないですか?!」
「あと数年で定年になるけれど、私は地域と関わっていこうとなど、全く思ってなどいません」

今まで地域と関わってこなかった場合、そう思う人は多いかもしれません。
一理あるかもしれません。

学生時代の友達とのつきあいじゃダメなの?
職場時代のつきあいがちゃんと続いているけど…。

でも、それは今の状態だからそう思うのだと思います。
同世代の友達は、みんな一緒に年をとっていきます。
いくつになってもずっと元気な人はたくさんいるけれど、一般的には年齢を重ねていくうちにカラダは衰えていきます。
衰えれば出かけることも少なくなるし、つきあう人の数もだんだんと減っていくかもしれません。
子どもの仕事や転居など、家族との関係性が変わるかもしれないし、家族以外のサポートが必要な状況が来るかもしれません。
いろいろなことが億劫になったり、何ごとも1人でやるのは大変になってきたり、どんな変化があるかわかりません。
もしそうなった時には、やはり近くの人の存在が大きいのではないかと思うのです。
そうなったとき、どんな助けが必要かと考えると、やはり地域のつながりは大事になるのではないかしら。
地域との関係は一朝一夕でできるものではないから、だきるだけ早い段階から少しづつ地域と関わることを心がけていくべきではないかと、今の私は考えています
せめて、いざという時に声をかけあえるくらいの関係でいられるように。

だから、
「地域とつながらなくちゃいけないんですか?」
という質問に対しての私の答えは、
いけないってことはないでしょうけど、つながっておいた方がきっとよいだろうということ。

地域包括ケアシステムとか、地域共生社会とか、国はいろいろ言うけれど、私にとってはどれも絵に描いた餅のように思えてあまり現実感がありません。
そんなに都合よく、理想通りには動かないよ、と。

けれども、隣近所と「おはようございます」と声をかけあい、困ったことがおきたら「すみませんが…」とお願いできることは、やはり大事だろうとは思います。
そのためには、お願いするだけでなくこちらから手を貸すことも必要だろうし、それがきっと「地域とつながる」ということなのではないでしょうか。