「終活」というと、多くの人は高齢者のためのものと思っています。
まだ先のこと、今の自分とは関係のないことだと思っている人が多く、なかなか自分ゴトとして考える人は少ないようです。

30代40代の終活

つい先日、
30代40代の働き盛りの人がエンディングノートを書く意味ってどこにあるのだろう?
という取材を受けました。

30代40代の…というテーマの取材は、実は初めてではなくて、
むしろ私への取材は、このテーマが多いと言えるかもしれません。

終活と言うと、どうしても高齢者のものと思うのが、たぶん一般的な考えでしょう。

30代40代の方からのよくある質問が、

うちの親、ちっともエンディングノートを書いてくれないんですが、どうやって書かせたらいいですか?

というもの。

こういう質問をするご本人自身は、まずエンディングノートを書いてなどいません。
それどころか、エンディングノートを見たこともありません。

つまり、親には考えてほしい、終活してほしい、と思っているのですが、
自分の人生はまだまだ続くと当然のように思っているので、自分が終活なんてまったく考えてなどいないのですよね…

そういう状態で親に書いてもらおう、と思うのは難しいのではないかと私は思います。
だって、親だって自分の人生はまだまだ続くときっと思っているでしょうし、自分が終活なんてなかなか考えてはいないからです。

小林真央さんの訃報を受けて

さて、私が30代40代の人がエンディングノートを書く意味についての取材オファーを受けたのは今から1か月以上前のことでした。
その3週間後に
小林真央さんの訃報が伝えられたのでした。

30代の若さで旅立った真央さんの訃報が大きなニュースになったのは、皆さんもご存知の通りです。
終活など高齢者のものだと思っていた人たちにとっても、このニュースはあるきっかけになったのではないかと思います。

それ以来、私のもとにも子育て中のママからお問い合わせが届くようになりました。

終活は他人事と思っていたけれど、今、私が子どもにできることってなんでしょう?

エンディングノートを書こうと思うけれど、どう書けばいいでしょう?

エンディングノートはなんのために書くのか

エンディングノートを書く目的って何でしょうか?

人によって、家庭によって、事情によってそれぞれかもしれませんが、
私はだいたい次のようなものではないかと思います。

  • 緊急時に役立てるため
  • 自分をふり返り、整理するため
  • 家族や友人に思いを伝えるため
  • これからの人生を見据えるため
  • 死後の希望を伝えるため

高齢者の中には、
エンディングノートを書きたいという人、書こうと思っている人、書かねばと思っている人、
はたくさんいますが、それでも実際に書いている人は決して多くはありません。
ましてや、30代40代の現役世代は、エンディングノートを書いている人はほとんどいないでしょう。
何より終活が身近なものではありませんから、そもそもエンディングノートを書こうと思う人がほとんどいないのだと思います。

だけど、上記目的の中でも
2番目(自分をふり返り、整理するため)と
4番目(これからの人生を見据えるため)だったら、
30代40代にとっても、エンディングノートを書く意味は小さくありません。
キャリアデザインとリンクして考えると、さらに考えやすいのではないでしょうか。

これからの人生を見据え、何をやり遂げたいか、残したいか、伝えたいか。
そのために今どうするか

~を考える上で、エンディングノートは便利な道具だと思います。

エンディングノートがいろいろなことを聞いてくる、教えてくれる

エンディングノートの中には、自分の歴史をふり返らせる項目があります。
これから人生の終わりに向けてどうするかを考えさせる項目があります。
つまり、生まれてから死ぬまでの人生を見通す機会になるのです。

しかも、エンディングノートは「自分の命の終わり」を見据えて構成されています。
「自分の命の終わり」最期を誰に託すのか…を考えざるを得ません。
託すためにどんな人とどのような関係でいたいか、を考える道具でもあるのです。
そのために家族との関係を大事にしようと思う人もいるでしょうし、
今のような時代だからこそ、それは必ずしも家族ではないかもしれません。

さらに、

生きている時間は無限ではないこと、
人は必ず年をとること、
自分はいつも健康であるわけではないこと、

など、当たり前ながらなかなか普段考えないことを、エンディングノートは次々と聞いてくるのです。
その結果、人生の終わりから「今」を逆算して考えていくことになるのです。

そこに、エンディングノートの大きな意味があると、私は思っています。

命の危険がある病気になったとき、
こういうことを一度も考えたことがない人とある人とは、違いがあるようだと、
精神腫瘍科のお医者さんが語っていたことがあります。
命の危険と向き合うことは誰だって苦しいし大変なことであることに変わりはないのですが、そういうことを「考えたことがある」という経験は、きっと大きな力になるのでしょう。

私はまだ自らの命の危険に直面したことはありませんが、
命が有限である、という事実を認識することは、「今」を大事にできるように感じます。
そういうことを考えたことがないときよりも、今、そう思っています。

だから、”終活”が高齢者のものだとは、私は思わないのです。
たとえ30代40代の現役世代であっても、リタイアメント世代も、高齢者も、
どんな世代にとっても意味があること。
それは、「死ぬための準備」ではなく、「生きるため」に必要なことです。

 

 

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