早めに相談したり、子どもの立場となる私たち姉妹とケアマネの情報共有等々、
段取りがいろいろうまくいったと思っていたものの、今度は次から次へと電話が入るようになりました。
今までは、父から、あるいは母からの、SOS!の電話が入るのが中心だったのですが、
今度は介護関係の方々から、それぞれ電話が入ります。
まずはケアマネ、そして両親が通院中の病院やクリニック、市役所の人、介護事業者さん、などなど。
ちなみに、居宅介護、訪問介護、ショートステイ、デイサービス、入浴サービス、訪問リハビリ等々、
介護関係にはいろいろなサービスを提供する事業者があります。
介護と関係がない世界で生きてきた者にとっては耳慣れない言葉ですが、
これらサービスを提供するところを「介護事業者」と言いますが、彼らは自分たちのことを「ジギョウシャ」と言います。
ケアマネをはじめとする方々は、老親とは違って業務連絡として電話してくるのですが、
こちらとしては困ることがあります。
連絡は携帯にお願いしていますが、普通の業務時間内なので、
仕事中のこちらも、なかなか出られないのです。
(なぜかいつも会議中や電車の中など、出られない時間にかかってきました)
その際、皆さん携帯に留守電メッセージを残してくれるのですが、
そのメッセージが「また、電話します」。
病院の場合は「電話ください」。
・・・この「また電話する」が困りものです。
いつかかってくるのかがわからないのですから。
そこで着歴をもとに折り返してかけてみると、今度は先方が留守、電話中、離席中。
介護関係の現場は人手不足だし、忙しいのはよくわかるのですが、
なかなか話ができず、他にわかる人もいない。
固定電話からなので、ショートメッセージを送ることもできません。
イライラが溜まっていきます。
そこで試みたのが、以下のような伝言。
「また電話をくれたときに、もしこちらが出られなかったら
いつ折り返しの電話をかけたらいいか、時間帯を留守電メッセージに残してください。
できれば、その候補を三つくらい。」
電話に出た方に、伝言をお願いするようにしました。
これだけでだいぶ楽になりました。
離れて暮らす家族が連絡のキーマンになったとき、連絡はあっちからもこっちからも入ります。
特に体制が整うまでは、いろいろ試行錯誤もあるので、細かい連絡が何度も必要です。
そのとき、うちの場合は病院を含めて4か所から連絡がきており、
体制整備に向けては、その4か所の連携が必要でした。
そういう状況の場合、そのうちの1か所だけでも連絡がとれないと、体制を整えることができないのです。
実際にサービスを利用するのは両親であり、
複数との連絡は、両親の体調や状況を伝え、スケジュール調整することにあるのですが、
離れて暮らしているので、老親の状況をこと細かく把握しているわけではありません。
けれども、老親に連絡対応をすべて任せるには、少々不安がある。
介護サービスを受ける上で、離れて暮らす子どもたちが大変なのはこういうところではないでしょうか。
中には頻繁に老親宅に通い、細かい手続きや連絡などを一手に引き受けている「子ども」もいますが、
仕事を続けながらこれをやるには無理があります。
介護業界は顧客(利用者)との連絡でIT利用はあまり進んでいないようで、電話連絡が中心です。
医療系(病院、クリニック、薬局)だって同様です。
こんなことが続けば、
仕事どころじゃない、
仕事にならない、
職場で周りに迷惑をかける…
介護離職を考え始める人たちの気持ちが、よくわかります。
いくら大事な親だったとしても、煩わしさを感じないわけにはいかなくなってくるのですから。
それでも、一つづつ煩わしいことを少なくするためにどうしたらいいかを考えながら、次の体制づくりを進めていくしかありません。
離れて暮らす家族としてできることは何か、できないことは何か。どこまでならできるのか。
同じ「子ども」でも、きっと兄弟姉妹で「できること」が違うし、目指す方向も微妙に違うかもしれません。
その中でどう家族がそれぞれ納得しながら前に進むのか。
親の介護を考えることは、家族関係を考える時間でもあります。