おかげさまで健康なので、お医者さんに診てもらう機会は、あまり多くない。

それでも、怪我をして整形外科に行くことはあるし、歯医者さんにも行くし、耳鼻科に行ったり、風邪をひいて内科に行ったりすることはある。

かつては、そこで薬を処方されれば、診てもらった場所の近くの処方箋薬局で受け取っていた。

でも国の方針として、医療費削減で薬の乱発を避けるためにも、かかりつけ薬局を持つことを推奨するようになり、私自身も薬局はもう10年近く自宅近くの一つにまとめるようにしてきた。
似たような効能がある薬が複数から出たり、副作用を抑えるための薬が出て薬量ご増えたりするのを抑えることができるし、顔馴染みになれば薬の不安や不満を薬剤師に伝えやすくなるし、ときには医師に確認してもらうこともできる。
新しい薬局に行くと高くなる(6か月以内であれば、同じ薬局に行った方が安い)こともある。

だから、私自身はもちろん、周りにも、いわゆる「かかりつけ薬局」を持つように勧めてきた。

しかし、このかかりつけ薬局という仕組み自体を否定するつもりはないけど、やっぱり少々無理があるなあと、今、私は思い始めている。

最近、今まで行ったeタことがない耳鼻科と婦人科を受診した。
どちらも処方箋が出たので、私のかかりつけ薬局に処方箋を持参したところ、その薬局にはどちらの薬も在庫がなかった。
一つは近所の薬局にありそうだから取りに行ってくるから待っていてほしい、と言われた。
もう一つはなかな出ない薬なので、かかった医者の近くの薬局で出してもらうように、と言われたので、自宅近くにあるかかりつけ薬局からもう一度医者の近くの薬局まで行かねばならなくなってしまった。

取りに行くのもどうかとは思うが、他で出してもらってほしいと言われたら、それはもう、かかりつけ薬局とは言えないのではないか。
しかも、処方した医者の近くの薬局は私にとっては初めて行く薬局。かかりつけ薬局だったらかからない費用が加算され、まず問診票に記入し、「お加減はいかがですか」と一から質問が繰り返されるのも、時間がかかるし少々うんざりしてしまう。

かかりつけ薬局の存在は、あちこちの医者にかかる人の薬に、ダブりや無駄がないかが確認でき、医療費削減につなげる、という効果はよくわかるけれど、薬局があらゆる薬の在庫を抱えるというのは現実的ではない。
そうなると、かかりつけ薬局の制度自体にやや無理があるように思える。

ではどうしたらいいのか。

2週間とか3週間とか比較的長期間処方されている薬については、薬が失くなるギリギリに医者に行くのではなく、数日前に診てもらうようにするのが良さそうだ。
それでかかりつけ薬局に処方箋を出せば、仮に在庫がない薬であっても取り寄せてもらうことができる。多少時間はかかるだろうが、いつもの薬局で一元管理されるので、万一薬が合わなかったときなどにも対応しやすいだろう。

医師に処方された段階で、その場でかかりつけ薬局に連絡して在庫があるかどうかを確認すると、さらに安心だ。
もし在庫がなくても、取り寄せまでどれくらい時間がかかるかがわかれば、それによって処方された医者の近くの薬局で受け取るようにするかどうか、その場で判断できる。
携帯電話を持ち歩くのが当たり前になった今だからこそ、それができる。

そこまでして「かかりつけ薬局」を持つ意味があるのか。
正直なところ、私にはよくわからない。
しかし、血液をサラサラにする薬や、高血圧のための降圧剤、糖尿病や心臓の薬など、生活習慣病で恒常的に薬を服用するような人は、薬の効き方を確認し続けたり、その主治医以外の医師から処方される薬との兼ね合いを見たりするうえで意味があるのだろう、きっと。

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