私が会社員だったころ、個人事業主になることは憧れでした。

仕事自体は大好きだったけれど、
会社にいると、やりたいことだけでなくやりたくないこともたくさんやらなくてはいけないし、
会社ルールもいろいろあるし、だから自分ペースで働きたい、好きなことだけで働きたい・・・
ずっとそう思っていました。
大きくなんかならなくていい、人も雇わず自分だけで。
何より自分基準、自分ペースを大事にして働きたい、というのが漠然とした目標だったのです。

自分自身が40歳を超え、会社で定年を迎える人を見ながら、
あと自分は何年ここで働くのだろう、
定年までいるのだろうか、
続けたくても辞めたくても関係なく定年があるんだ・・・
もし定年まで働き続けていたらその後はどうするんだろう、
などと思いはじめたところから、自分の定年は自分で決めたいという思いが芽生え、
その結果として個人事業主になることにしました。

実際、定年後には個人事業主として働きたい、と言う人がたくさんいます。
では、その個人事業主になるためには、いったいどうしたらいいのでしょうか?

1.個人事業の開業届を出す

新たに事業を始めるという届を出せば、個人事業の始まりです。
それが、税務署に申請する「開業届」になります。
開業届は、税務署に行けばもらえますし、
国税庁のホームページからもダウンロードできます。

開業届をだせば、これでもうあなたは個人事業主。
仕事があろうがなかろうが、個人事業主になることはとても簡単です。
もし会社員であったとしても、副業として自分で何かをやっている場合、
開業届を出せば、「会社員+個人事業主」になります。

ちなみに自営業、フリーランスなどというのも、個人事業主と同じこと。

2.開業届は出さなくてはいけないのか?

けれども、実は開業届など出さなくても、個人で仕事をしていれば実は個人事業主。
開業届を出さなくてはいけない、という法律などありません。
では何のために開業届を出すのか?
・・・それは、「青色申告」をするため。

青色申告とは、確定申告の時の申告方法の種類です。
この青色申告をすると、最大65万円の特別控除が受けられるようになるのです。

青色申告と言っても、
◆複式簿記という正規の簿記で帳簿を作成し、確定申告では貸借対照表と損益計算書も提出する形
◆単式簿記という簡易帳簿を作成し、確定申告では損益計算書も提出する形
の2種類があります。

複式簿記の方なら65万円の控除で、単式簿記の方は10万円の控除。
たくさん控除してもらいたかったら、きっちり帳簿をつけなさい、ということですね。

この青色申告をするためには、開業届だけでなく青色申告承認申請書も出さなくてはいけません。
開業届を出さずに青色申告商人申請だけ、という形はありません。セットです。
それによって税の優遇が受けられるのですが、その優遇を受けるために開業届を出すのです。
開業届を出すのが税務署であるという所以ですね。

開業届と青色申告承認申請書の提出時期は、確定申告を行う予定の年の3月15日まで。
確定申告というのは、1月1日~12月31日までの1年間についてを翌年申告するので、
3月15日までに開業届と青色申告承認申請書を提出し、12月31日に〆めたものを
その翌年、3月15日までに申告します。

なお、開業届を出さずに仕事をしたとしても、ある金額以上の収入がある場合は
確定申告をしなくてはなりません。※
仕事をし、収入を得たら税金を払う~これは当たり前の義務ですが、
できれば払いたくないと思う人も多いことでしょう。
でも、今はマイナンバー制度ができ、これから運用が広がっていくでしょう。
いずれお金の動きは紐づけられるようになっていきます。
だから逃げ切るのは難しそうです。

※確定申告=給与以外の年間の所得が少額(20万円以下)の人は確定申告をする必要はありません。

3.会計を把握する

もしも、

所得が低ければ税金を納めなくていいし、別に儲けなくてもいい・・・

とお考えの方は、個人事業などやめたほうがいいです。

正直なところを言うと、私自身がずっと「別に儲けなくてもいいから個人事業主になりたい」と思っていました。
自分のやりたいことをしてお金を少しいただければそれで満足だと。
だけど、仕事をするためにはいろいろな経費もかかる。
収支を見てみたら赤字だったとしたら、それはもう事業なんかじゃありません。
それは個人事業ではなく、趣味かボランティアなんです。

個人事業主になるということは、個人として事業を始めるということなので、
その結果としては売上を上げなくてはなりません。
すぐにというのが仮に難しいとしても、いずれは収入を得ていかなくては事業としては成立しません。
個人事業とは、収益を上げて税金を納めることで社会のお役に立つためにするものなのです。

だから、もし開業届を出さなかったとしても、個人事業主として仕事を始める以上は、
帳簿をつけ、会計を把握しましょう。
「会計を見る」ことは絶対必要なことなのですね。
それを自分でやるかどうかは別にして。

私自身がそうであったように、女性の中には、特にやりたいことに邁進するばかりで、
お金のことをあまり考えずに進んでいく人が多いようです。
お金を考えるのは苦手と言う女性も多いですね。

個人的には、儲かるかどうかばかり考えている人のことはあまり好きにはなれないけれど、
それでも個人事業主にとって、お金のことを考えることはとても大事なことです。

念のため消費税についても触れると、個人事業主の場合、消費税は開業して2年間は免除になります。
3年目以降も売上(所得ではありません)が年間1000万円以下の個人事業主は免除されます。

4.最初は副業から、というのは一つの選択肢

今、会社員で、将来個人事業を始めたいと思っているのであれば、
私はまず副業として小さくトライし始めることをお勧めします。

例えば、はじめはボランティアで、あるいは自らの研修のつもりで、
少額での商品(サービス)提供でもいいから副業としてやってみるのです。
そこでお客さんの反応や評判、自分の向き不向きなどを確認しながら、進めてみてはいかがでしょう?

最近は、国も社会も、副業を認めるような動きへと変わりつつあります。
まだまだ日本の会社では副業を禁止している会社の方がはるかに多いですが、
それでも少し前と比べて、副業を認める企業は増えてきつつあります。

副業をしてみて、さてあなたの年間収入は確定申告が必要なレベルに届くでしょうか。

副業の定義は難しいところですが、確定申告が不要なレベルであるなら、
今、個人事業主になろうと考えるのはいささか時期尚早かもしれません。

私は、個人事業主としてやってきましたが、かつて夢見ていた個人事業主と現実は少し違いました。

例えば、
 仕入がなくたって経費は予想以上にかかる。
 単発の仕事は次がいつ来るかわからない。それっきりのこともある。
 今受注している仕事は、いつ切れるかわからない。
 たとえ熱を出そうが体調を崩そうが、自分一人なので受けた仕事は、なんとしてもやらなくてはならない。
 大きな仕事は、もし切れると経済的ダメージも大きい。    などなど。

私はひとまず開業届を出してスタートしたけれど、会計知識はなく帳簿もつけていませんでした。
確定申告はずっと専門家に丸投げでお任せしていました。
おかげで益々会計知識は身につかず、現実の事業の会計状態がどうなているのか、
状況は感覚的になんとなく理解していたつもりでしたが、数字としての理解はなく、
状況の把握はできていませんでした。

会社員だった頃から、「副業」という準備期間を経て、
会計知識を少しづつ身につけていればよかったと、今になってとても強く思います。
そういう準備があれば、個人事業主としてのスタートダッシュが違っていただろうと思うのです。
また、個人事業主と言ってもその方向性ややり方、価格などはさまざま。
自分の道を探していく上でも、副業でテストしながら探していくのは、なかなかよい方法だと思います。
会社員だからと何もしないまま、いざ会社を辞めて、さあ個人事業主になろう!としても
実際にはどうにもならないことだってあるのです。

昨秋に主催した副業のためのセミナーでは、副業禁止の会社に勤務する人のために、

なぜ会社にバレるのか、そのメカニズムと共に
会社にバレにくくするにはどうしたらいいのか、そのための秘策をお知らせしました。

個人事業主を始めようという人は、ぜひ「副業」をまずは選択肢の一つに考えてみてください。

 

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